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私のバイブルのひとつに、エーリッヒ・フロム (Erich Fromm) の The Art of Loving という本があります。この本は、大学時代に英文学の教授から紹介されました。本のタイトルを直訳すると「愛する技術」というような意味になるのですが、「決してポルノではないから期待しないように!」と教授に言われたことを覚えています。
1956年にニューヨークで出版されたこの本は、ドイツ生まれの社会心理学および精神分析学の学者であるフロム によって書かれました。日本でも、『愛するということ』というタイトルでの翻訳版が出ています。この本の中でフロムは、愛とは、誰にでも簡単に浸れる感情などではなく、音楽や絵画などの芸術と同様に、知力と努力をもって習得する「技術」であると説いています。
多くの人は、愛とはそこに落ちるような心地よい感情で、それを経験できるかどうかは運にも左右されると考えがちですが、それは間違った認識であるとフロムは語ります。つねに大きな期待や希望とともに始まりながら、愛の多くは失敗に終わるという現実。この失敗を克服するためには、まず、愛することが技術であると知り、芸術やスポーツの技能と同じように、その技術を習得していく必要があるとしています。
どんな技術でも、その習得に必要なことは 2 つ ー「理論」をよく知り、その「実践」に励むこと。というわけで、この本は、前半のページの多くを割いて愛の理論について、そして、最後の章で愛の実践について解説しています。
私がこの本を最初に読んだのは、社会人になってからでした。当時、恋愛に対してそれなりにロマンチックな想いを抱いていた私は、まず『愛は技術である』という発想に新鮮な驚きを覚えました。『ほとんどの人は、愛の問題を愛するという問題ではなく、愛されるという問題(どうすれば愛されるか)と捉えている』『愛の問題を能力の問題ではなく対象の問題(いかにふさわしい相手を見つけるか)と捉えている』『恋に落ちる経験を持続的な愛と混同している』等々の指摘を読むにつれ、いくつかの言葉に深く共感したり、過去の失恋を思い起こしたりしながら、その内容にどんどん惹きつけられていきました。
私たちは愛することを感情の成果物のように捉えがちですが、この本は、それをきっぱりと否定し、愛というものをどこまでも冷静かつ客観的な視点で分析しています。それでいて、読み終えたときには、人が人であることの素晴らしさをどんな物語よりも実感させてくれる素敵な本です。
さて、本の紹介がかなり長くなりましたが、英語を学ぶ過程というものも、フロムが定義した愛の習得方法と同様に「理論」と「実践」に尽きると言えます。別の言い方をするならば、「インプット」と「アウトプット」です。「理論」に関しては、語彙やよく使われる英語のフレーズ、英文法、正しい発音方法など、英語に関する知識やルールを学習すること。そして、「実践」として、インプットした知識・情報をもとに、英語を口に出すなり、英文を書くなりと、実際に練習したり、使ってみることで、語学としてのスキルを身に付けていきます。この実践のプロセスには、フロムが『愛の実践』について述べているように、一定の規律や忍耐、そして信念をもって取り組むことがとても大切になります。
英語の習得には、つねに「インプット」と「アウトプット」という 2 つのプロセスが、車の両輪のように欠かせません。これから英語を学びたいという方には、まず覚えていただきたいポイントです。一方、これまで英語の学習がうまくいかなかったという方は、上記 2 つのバランスが適切であったかどうか、ぜひ一度、振り返ってみていただきたいと思います。
See you!