スピーキングの3つの極意

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今回は、第二言語としての英語教育のエキスパートJudy Thompson氏のTEDスピーチ: Three Secrets You Need to Know About Spoken Englishから、英語のスピーキングに関する3つの秘密についてご紹介したいと思います。これらは、ネイティブスピーカーたちが普段全く意識していないポイントですが、第二言語として英語を学ぶ私たちにとっては、ぜひとも知っておくべき内容です。

英語の極意その1: 英語はストレス(強勢)言語である
英語の発音において最も大切なことは、ストレス(強勢)の置き方です。ネイティブスピーカーにとって、会話の中で発せられるひとつひとつの音に大きな意味はありません。重要なのは、所定の音節に所定のストレスが置かれているかどうかです。

Thompson氏は、自分の子供が幼いころにレストランで何が食べたいか聞かれ、“Basghetti!”と答えたときのことを例に挙げています。子供はスパゲティ:“Spaghetti!”と言うべきところを“Basghetti!”と言ってしまった訳ですが、bas-GHE-ttiと、spa-GHE-ttiを発音するようにGHEの音節にストレスが置かれていたため、母親であるThompson氏も、レストランのウェイトレスも、子供が何を食べたいのかがすぐに理解できたということです。

英単語を辞書で調べると、発音記号の中に「’」のマークが表示されています。このマークが付いた箇所が第一強勢を置く音節となります。ストレスを置く音節は、他の音節よりも「強く、長めに、そして高めの音調で」発音するのが基本です。英語では、ストレス音節が適切に発音されている限り、他の音節の発音が完全ではなくても言葉の「意味は失われない」ということです。日本語訛りや文法の正確さを気にしながら話すより、会話の核となる言葉に正しいストレスを置くことを心がけるだけで、言いたいことがネイティブに無理なく伝わるようになります。

英語の極意その2: リンキング(Linking)
ネイティブではない英語の学習者がネイティブの話す英語を聞き取れない理由のひとつにリンキングがあります。リンキングとは、英語がナチュラルスピードで話されるときに起こる現象で、複数の単語がつながって発音される現象を言います。具体的には、子音で終わる単語が母音で始まる単語とつながる、母音で終わる単語が母音で始まる単語とつながる、また、子音で終わる単語に子音で始まる単語が続いた場合には、後の子音だけが発音されるなどのケースがあります。

例えば、Can I have a bit of egg? は、実際の会話ではリンキングの現象によってca ni ha va bi da vegg?というように発音されます。リンキングは英語をより話しやすくするために起こる現象です。そして、文がたとえどのような構成でどのように綴られていても、ネイティブスピーカーには常に子音から言葉をスタートさせる習慣があるのです。上記の例では、本来母音から始まる“I” “a” “of” “egg”といった単語が、会話の中ではリンキングの法則により、“ni” “va” “da” “vegg” と子音から始まる音節に変化しています。このような音の変化が、私たちノンネイティブの英語学習者のリスニングをいかに難しいものにしているかがわかりますね。

こうしたリンキングのルールを知り、発音練習を繰り返しながら英語独特のリズム感を養うことが、ネイティブ英語を攻略していくためには必要です。

英語の極意その3: コロケーション(Collocation)
コロケーションとは、よく使われる単語同士の組み合わせのことを言います。例えば、「恋に落ちる」であればfall in loveとするのが決まりです。決してfall to loveとは言いません。また、Merry Christmasとは言っても、Merry birthdayとは言わず、Happy birthdayと言います。このように、コロケーションは、決まった単語の組み合わせにより、ひとつのイメージを表現しています。ネイティブ同士の会話では、文法よりもコロケーションが重視されているため、ナチュラルな英語を話すためにはコロケーションの知識が欠かせません。ここで例文です。

Last night we ate dinner at home.
I cooked chicken.
After dinner my husband washed the dishes.

上記の文は、文法的には何の問題もなくパーフェクトです。でも、ネイティブスピーカーは上記のようには話しません。ネイティブ流に書き直すと、以下のようになります。

Last night we had dinner at home.
I made chicken.
After dinner my husband did the dishes.

いかがでしょうか?これが英語のコロケーションに基づいたReal Englishの表現ということになります。会話の中に自分が認識できないコロケーションが存在していると、ネイティブの話をうまく聞き取ることができません。コロケーションには一定のルールもないため、英語に数多く触れる中で地道に身に付けていく必要があります。

Thompson氏いわく、一次元的な文法ルールに比べ、実際に使われている英語そのものは、慣用表現が多用されるもっととらえどころのない存在だということです。そして、そこでのカギとなるものがコロケーションであると述べています。コロケーションを知ることは、ネイティブスピーカーたちが話す生きた英語を習得するための有効で確実な手段となるのです。

Judy Thompson氏のTEDスピーチはこちらから:

See you!