そして、旅は続く

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昨年の夏、アフリカのインフラ整備に関する事業に携わっていらっしゃるAさんから英語の学習相談をお受けしました。Aさんは、仕事上、メールや電話で日常的に英語を使われていて、プロジェクトの報告書を英語でまとめたり、時には現地で英語のプレゼンテーションを行うこともあるそうです。それほど英語を使いこなしている方でも、この先どのように自分の英語をブラッシュアップしていけばよいかと考えあぐねていたそうです。

Aさんは、以前、発展途上国に対する政府開発援助 (ODA) を請け負う組織に所属されていました。その組織に所属された当初は、研修プログラムの一環として英語研修を数カ月ほど受講されたということですが、それ以外は今日まで独学で英語をレベルアップさせ、アフリカ現地での仕事をこなしてきたということですから、実に頼もしいですよね!TOEICについても、だいぶ前に840点程度のスコアを取得されていたということですから立派です。

ご本人いわく、「自分の英語は、いわゆる叩き上げの英語なので、きちんとしたビジネス英語の観点や、フォーマルな英語という観点からは課題があるのでは」ということ。過去には、自分が使っている文法がおかしいのではと感じて、ESL(英語以外を母国語とする学習者向け)の文法書で、英文法を一から学習し直したこともあるそうです。その結果、ネイティブスピーカーが使う文法の仕組みがよくわかるようになったとおっしゃっていました。

Aさんのお話を聞いていて何より感動したのは、問題点を感じた時にすぐアクションを起こせる行動力です。英語を習得する際の一番の「敵」は、実は「面倒くさがる」ことではないかと私は思っています。例えば、知らない単語に触れた時、辞書できちんと意味を調べる手間、きちんと発音を確認し発声してみる手間、どんな場合にどんな使い方をするのか、きちんと用法を学ぶ手間があります。そうした「手間」を積み重ねることが、確実に語彙力・語学力を向上させることにつながっていくものです。

Aさんのように、すでに英語のコミュニケーションスキルをお持ちになりながらも、そこに課題があると思えば、あえて文法を基礎から学び直すことを決断して実行に移す姿勢や、今も現在進行形で自身の英語を進化させようと働きかける姿勢は、まさに英語学習者のかがみと言えます。こうした意識と行動力があれば、Aさんのように、独学でも現場で使える英語力を養うことが十分可能であるということですね。

さて、そんなAさんからのご相談に対し、私が提供させていただいたアドバイスは以下の3点です。

まず、ネイティブスピーカーでない限り、どんな英語上級者であっても、「英語学習に終わりはない」ということ。英語はレベルアップすればするほど、そこに新しい課題が見えてくるものです。たとえ同時通訳の第一人者であっても、日々新しい英語の情報をインプットし、英語の音声を耳に入れるトレーニングは毎日欠かせないと言います。自分のレベルに合わせ、自分のペースで楽しみながら英語学習の旅を続けていけることが一番の理想です。そして、毎回、旅の目的地を決めることです。

次に、「フォーマル英語の重要性」について。日本のビジネスで適切な敬語が使えることが大切なように、欧米の仕事の世界でも、フォーマルな英語表現がきちんと使えるかどうかで、その人の評価がある程度決まってしまうことがあります。逆に、英語がそれほど流暢ではなくても、きちんとしたフォーマル英語が話せる人は、敬意をもって扱われるということもあります。Aさんの場合、現在は仕事の相手が主にノンネイティブスピーカーのアフリカ人のため、フォーマルな英語表現を意識する必要はそれほどないかもしれません。それでも、将来にわたりグローバルなビジネスに関わり続けるのであれば、どこかで一度、フォーマル英語に軸足を置いて学習する必要もあると思います。

最後に、フォーマル英語に馴染むきっかけとして、BBCやCNNなどの「ニュース番組の音声を学習の素材として」取り入れること。ニュース英語の音声は、最もスタンダードな英語かつ典型的なよそいき英語で、ゲストのインタビューなどで話される英語も基本的にはフォーマルな英語です。Aさんは、普段ニュース英語はあまり聞かないとおっしゃっていましたので、今後ニュースの音声を聞くことも習慣づけていただけるよう提案させていただきました。

Aさんからは、「英語の学習に終わりはない、と認識を新たにしました。今後、自身の向かいたい方向性、業務での必要性等をもう一度問い直してみる作業からやり直そうと思います」というコメントをいただきました。常にご自身の現状に真摯に向き合い、素晴らしい実行力をお持ちのAさんのことですから、今年もきっと、さらなる飛躍を遂げられることと思います。

英語学習の旅を続ける醍醐味は、壁を一つ越えるたびに、また一つ新しい視野、新しい可能性が目の前に開けてくることにあります。今年も楽しく旅を続けましょう!

See you!