仕事で必要とされる英語力とは?

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今年も猛暑のシーズンがやってきました。もはや、地球温暖化 (global warming) の時代は終わり、沸騰化 (global boiling) の時代が到来したということで、恐ろしい話ですね。私は、もっぱら涼しい部屋でのスポーツ観戦でこの夏を乗り切るつもりです。毎年楽しみにしているウインブルドンのテニストーナメントは先日終わってしまいましたが、今は、FIFA女子ワールドカップに注目しています。今回は、開催地がオーストラリア & ニュージーランドのため、それほど寝不足にはならずに済みそうです。1次リーグで絶好調だったなでしこジャパンの決勝トーナメントでの活躍が楽しみです。

さて、今回のテーマは、仕事で必要とされる英語力とはどのようなものかということ。それは、一言で言うなら『すぐに伝わる英語力』だと思います。もちろん、職種や役職などによって、必要とされる英語力のスペックも変わります。ここでは、一般社員が日常的な業務を回すためのコミュニケーションという括りでお話ししたいと思います。

「外資系企業に就職/転職したいので、ビジネス英語の学習方法を教えてください」というご相談を受けることがあります。どうも、仕事の場で使われる英語は何か特別な種類の英語であると思い込んでいる方が多いような気がします。私が自分の経験に基づいて差し上げられるアドバイスとしては、ビジネス英語と言うよりも、物事や状況を英語でわかりやすく説明したり、自分の考えを英語でロジカルに表現したりする練習を積むことが効果的だと思っています。仕事においては、何かを時系列に説明することや、自分の意見が求められる場面が結構多いものですが、そんな場合に必要となるのは、やはり、シンプルでわかりやすく、すぐに伝わる英語なのです。

私の経験上、外資系企業のネイティブスピーカーたちは、ビジネス英語の教材でよく見るような形式ばった英語表現はほとんど使いません。また、一般的な外資系企業ではさまざまな国籍の社員が働いているため、社内ではできるだけシンプルでわかりやすい英語表現が好まれます。

私が仕事の英語で重視すべきと思うポイントは4つあります。

■シンプルであること
■わかりやすいこと
■タイムリーであること
■丁寧であること

では、シンプルでわかりやすい英語を身に付けるコツは何でしょう?色々あるかもしれませんが、一つには、be, get, give, put, take, make, keep などの基本動詞を使った表現を有効活用できるようにすることです。基本動詞の用法のバリエーションは、とても幅広い内容をナチュラルな英語で表現することができますが、残念なことに、日本の学校教育だけでは十分に身に付けることはできません。多くの日本人は、学校では教えてくれない簡単な表現方法を知らないため、英語を話そうとする度に、日本語をそのまま直訳できそうな単語を探したり、かえって難しい表現方法を探したりしがちです。

例えば「今日中にレポートを書き上げます」なら、I will finish writing the report today. とする代わりに、基本動詞の get を使って I will get the report done today.彼は売上より利益を優先した」なら、He prioritized profits over sales. とする代わりに、基本動詞の put を使って He put profits before sales. とよりシンプルに表現することができます。

また、人以外の無生物を主語にした表現方法を覚えると、これまでなかなか言えなかったことがスムーズに、そしてより英語らしく表現できるようになります。無生物を主語にする表現の例として、例えば「このシステムにはいくつか問題があります」なら There are a few problems in this system. とする代わりに This system has a few problems. 「日程を変更すると追加料金が発生します」なら If we change the time schedule, we need to pay some extra costs. と長い英文で表現する代わりに Changing the time schedule makes us pay some extra costs. と端的に表現することができます。

なお、コミュニケーションを簡潔にするためには、英語をアウトプットする時の鉄則である『結論を先に、詳細は後付けで』を意識することが必要です。外資系企業に長年勤務していても、ついつい言い訳から始まるメールを書いてしまう人は常にいるものです。言い訳や前置きが長い業務上のメールは、まず読まれません^^。

そして、どんな職場でも、コミュニケーションに常に求められるものは、タイムリーなレスポンスではないでしょうか。何かを問われた時には、すぐにきちんと説明できること、または、すぐにメールを返信できることが求められます。私には、かつて気の短い外国人上司に「あの件はどうなっているんだ?」と詰め寄られ、英語がすぐに口から出なかった苦い経験があります。実は、この英語の瞬発力という課題も、日頃からいかにシンプルな英語を使いこなせているかにかかっています。英語の瞬発力にお悩みを抱える方の多くは、英語を話そうとする際に、どこかで日本語の発想に囚われてしまっているように思います。日本語を英語にするという発想から脱却して『何を伝えたいのか』を明確にすること。伝えたい内容を中学レベルの簡易な英文を駆使して自由に表現すること。この方法を実践していくことで、英語の瞬発力向上への道が開けます。

最後に、シンプル・簡潔でありながら業務上のコミュニケーションとして忘れてはならないポイントは、丁寧な表現を心がけることです。特に、誰かに何かを依頼する場合には、英語の世界でも礼儀が重視されます。職場ではEメールで依頼文を作成する機会が多いと思いますが、メールの表現が上から目線だったり、ぶっきらぼうだったりする人は、とかく敬遠されがちです。以前、あるアメリカ人の翻訳者が「日本人の英語はキツい」と言ったことを思い出します。その理由は、would や could などを使った婉曲表現(=丁寧表現)をうまく使いこなせていないことにあるようです。一方で、英語のネイティブスピーカーたちは、職場の人間とコミュニケーションを取る際に、こうした丁寧表現を結構使っています。

英語の丁寧表現には、会話する相手や依頼の内容に応じて沢山の種類がありますので、ひととおりチェックしてある程度のバリエーションで使えるようにしておくことが大切です。

ちょっとしたお願いごとをする時には Could you do me a favor? 少し面倒なことを依頼する時には、より丁寧で遠慮がちなニュアンスを込めて Could you possibly ?Would it be possible for you to ? などの表現を使います。wouldには「もし可能であれば」という仮定の意味が含まれるので、さらに丁寧に依頼したい時には Would you be able to ? という表現方法もあります。また、丁寧に依頼したい時の前置き表現として定番の I was wondering (if) I was hoping (that) you could / you would be able to (~していただければと思ったのですが) もネイティブスピーカーがよく使う表現です。いずれにしても、その場の状況に相応しい大人の丁寧表現をきちんと使うことができると、それだけでネイティブスピーカーも敬意を払ってくれるものです。

仕事の英語を習得するには、何よりも自分の日々の業務内容、今後の予定や目標、課題について、伝わる英語でわかりやすく、そしてタイムリーに説明できるようにすることが一番です。実際、それができるようになれば、業務コミュニケーションとしては合格だと思うのです。というのも、そもそも仕事の英語とは、それ以上でもそれ以下でもないからです。

See you!