英語を英語のまま理解するとは?

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相変わらずの猛残暑が続いています。この夏は、久方ぶりに神宮球場にナイターを見に行きました。知り合いの方が、ヤクルトスワローズのファンで、バックネット裏の席を確保しているためご一緒させていただきました。その日は生ビールが半額でしたが、ビールはお腹がふくれるので2杯以上は飲めませんでした。5回の裏終了時の花火が思いのほか近くに見えてとても綺麗でした。

さて、私たち日本人は、英語のリスニングが本当に苦手です。これは、日本語と英語の言語構造があまりにも違うためです。英語のリスニングをマスターするためには、段階を踏んで英語の音に耳を慣らしていくことや、基礎的な文法力や語彙力も必要となりますが、リスニングを行う際の注意点として、よく言われている事柄があります。

英語を聞きながら和訳をしないこと
英語をイメージ(映像)としてとらえること
英語を英語のまま理解すること

上記の内容は、英語を学習している方なら、リスニングへの取り組み方として必ずどこかで目にしたり耳にしたりする内容ではないかと思います。

『英語を聞きながら和訳をしてはいけない』のは、聞こえてくる英語を頭の中で日本語に訳していると、それだけで英語のスピードについていけなくなるからです。このような方法で英語を聞いていると、ひとつでも知らない単語や表現が話されると、そこで思考が止まってしまい、その後に話される英語を聞き取ることができなくなります。

そこで、『英語をイメージ(映像)としてとらえて理解しながら聞く』という方法が推奨されています。実際に、同時通訳の方も、英語で聞こえてくる内容を頭の中で文字ではなく映像としてとらえ、それを日本語で表現しているのだと言います。例えば、スピーカーが旅行した時のことについて通訳するのであれば、英語で表現されている現地に到着した時の様子や、ホテルに着いてからの一連の行動などを頭の中でイメージとしてとらえながら、それを日本語で説明していくというわけです。もちろん、私たちは通訳ではありませんので、頭の中でとらえたイメージを日本語でアウトプットする必要はありません。英語で聞いた内容を自分の中でイメージとしてとらえることができれば、それは英語を理解したことと同じと言えます。

一方で、『英語を英語のまま理解する』とはどういうことでしょうか?これは、英語教材などで本当によく見る表現なのですが、わかるようでわからない表現のため、具体的にどういう状態を意味しているのか、私自身、長い間、思い悩んだものです。でも、ある時、この『英語を英語のまま理解する』とはこういうことか!という気づきがありました。

例えば、皆さんは “How are you?” と話しかけられれば、「調子はどうですか?」と挨拶されていることを、日本語を介すまでもなく英語のまま理解できると思います。また、“It’s a nice day!” と話しかけられたら、それを英語のまま理解して “Yes, it is.” (「本当に良いお天気ですね」)という具合に返事を返せるかと思います。つまり、英語を聞いて英語のまま意味がわかるという状態です。これはどういうことかと言うと、英語の音を聞いた時にその音の意味するところが理解できるということで、この状態こそが『英語を英語のまま理解する』ということではないかと思います。

そもそも英語のリスニングとは、英語を日本語に変換する作業ではなく、『英語の音を意味にひも付けする作業』なのです。もし、あなたが英語を聞いていて、その内容を頭の中でイメージ化(映像化)できるのであれば、それは、英語の音と意味をリンクさせることができているということであり、言い換えれば、『英語を英語のまま理解している』ということです。

では、リスニングにおいて英語を英語のまま理解できるようになるためには、どのようなトレーニングが効果的でしょうか?前述のように、リスニングの練習方法にはいくつかの段階があります。初心者の方は、まず英語の正しい発音を知り身に付けることが先決です。ここでのポイントは、自分が正しく発音できるようになること。そうなることで、初めて英語の音を聞き分けられるようになります。

ある程度『英語耳』ができているという人には、洋画や海外ドラマなどの動画を利用した学習方法をお勧めします (動画なしの音声だけを利用してもOK。ただし、和訳のあるものを用意すること)。やり方としては、はじめに日本語吹き替え版(または日本語字幕付き)をじっくり見て内容を頭に入れておきます。次に、日本語字幕のない英語音声のみで同じ内容を視聴します。こうして、すでに理解している内容を英語音声と映像(イメージ)のみで聞くことにより、英語の音を意味にリンクさせる体験ができます。

この学習方法は、多くの英語トレーナーが推奨している方法ですが、実際に体験してみると、以下のように数々のメリットがあることがわかります。

1.リスニングに必要な予測力が養われる
英語のリスニングでは、常に予測力が求められます。なぜなら、私たちは、知らない英単語や英語表現をゼロにすることはまず不可能だからです。日本語で予め内容がわかっていると、英語がよく聞き取れない部分でもどんなことを言っているのか予測しやすくなります。

2.自分のリスニングの弱点がわかる
意味がわかっているのに英語が聞き取れない箇所というのは、そこに自分にとって苦手な音のパターンが存在しているか、自分が知らない単語・表現が存在しているかのどちらかです。そうした部分を特定して重点的に学習していくことがスキルアップにつながります。

3.使いこなせていない英語回路が活性化する
英語の音声をすでに理解している内容に当てはめていくうちに、「そういえば、こんな言い方があったな」「こんな単語/表現もあったな」という具合に、知っていながら今まで使いこなせていなかった英語の知識が刺激され、活性化されます。

4.ナチュラルな英語表現・発音が学べる
洋画や海外ドラマの英語は、綺麗に完成された教材の英語とは一味違うナチュラルで生きた英語です。生の英語の音に数多く触れることは、実践で役立つスキルを養うための最適な方法です。また、セリフを自分で口に出す練習も、スピーキングのみならずリスニングのスキルアップに効果的です。

この学習方法を実践する場合の注意事項は2つ。1つは、聞きっぱなしにしないこと。自分が聞き取れなかった部分、よくわからなかった部分については、必ず繰り返し確認して原因を分析することが大切です。リスニングは、こうした地道な作業なしには改善されません。そして、もう1つは、自分のレベルや学習目的に適した素材を選ぶこと。映画やドラマは、内容によって使用される英語表現のタイプや語彙の種類にかなり幅がありますので、素材の選び方はとても重要です。

なお、動画を使わずに、洋書とその日本語翻訳版を使って同様のトレーニングを行うこともできます。この場合も、まずは翻訳版を読んで内容を理解してから原書を読むことで、英文をスムーズに読み進めることができます。

いかがでしたか?『英語を英語のまま理解する』という感覚は、実は、誰でも簡単に体験することができます。早速あなたも体験してみませんか?

See you!