映画・ドラマに教わる「こなれ英語」

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私は、暇さえあればテレビを観てしまう昭和生まれのテレビっ子です。スポーツ番組がダントツで好きではありますが、最近は、新しい映画や海外のドラマもテレビでどんどん放映される時代になったので、洋画と海外ドラマは結構観ています。海外ものを吹き替えなしの字幕版で観ると、やはり勉強になりますね。物語の中でカッコ良いなと思う英語のセリフや、日本語と比べておもしろいなと思う英語表現を欠かさずメモすることが、今ではすっかり習慣になっています。洋画や海外ドラマをたくさん観ていると、さまざまな英語表現が徐々に自分の中に蓄積されていくため、なんだかんだ言っても、これも効果的な学習方法のひとつに違いありません。

今回は、私がこれまでに洋画や海外ドラマで出会ったネイティブらしい「こなれた英語表現」をいくつかご紹介したいと思います。

「煙草を吸うと5年寿命が縮むんだって」
翻訳調英語:If you smoke, your life will be 5 years shorter.
こなれ英語:Smoking takes 5 years from your life.

smoking:「煙草を吸うこと・喫煙」という無生物を主語にすることで、シンプルでネイティブらしい英語表現になります。無生物を主語にするという発想になかなか馴染めない日本人は多いですが、一度この方法を覚えると、一見複雑に思える内容も英語で簡単に表現できるようになります。

「私は、彼のおかげでこのプロジェクトに参加できました」
翻訳調英語:Thanks to him I was able to join this project.
こなれ英語:He made me part of this project.

「~の一環となる」「~に参加する」と言う場合に、ネイティブがよく使う表現として「be part of ~」があります。join や participate という単語を使うより、何か仰々しさがなくてスマートな表現ですよね。ビジネスのシチュエーションでも結構使える表現です。「彼のおかげで」には、thank という言葉を使わずに he made me ~ でよりシンプルに同様の意味を表現することができます。

「もう十分に懲りたよ」
翻訳調英語:I really understand I shouldn’t do that again.
こなれ英語:I really learned the lesson.

learn a lesson は「教訓を学ぶ・得る」という意味の慣用句で、覚えておくと応用範囲の広い便利な表現です。I really learned the lesson. は、直訳的には「十分に教訓となった」という意味ですが、日本語の「もう懲りた」というニュアンスにぴったりはまると思いませんか?

「あなたは大切なことを教えてくれました」
翻訳調英語:You taught me the important thing.
こなれ英語:You taught me what matters.

ここでの matter は動詞で、あの “Black Lives Matter” の matter と同じ意味になります。同じ「大切なこと」を表現するにも、2つ目の文の方が深みが感じられますね。matter のこの使い方は知っていても、これをさらっと口にできる日本人はなかなかいないのではないでしょうか?こうした表現を自然に使いこなせるようになりたいものですね。

「私たち、ただ相性が悪いの」
翻訳調英語:We are just incompatible.
こなれ英語:We just don’t fit.

あらゆる人間関係を語る場面で使える表現です。incompatibleは「相容れない」「気が合わない」「両立しない」という意味を持つ形容詞。コンピュータの分野では「互換性がない」、医学の分野では「(血液型などが)不適合の」という意味でも使われます。TOEIC® の問題集などでよく出てくる単語ですが、個人的にはなかなか覚えられなかった単語のひとつです。一方、fitは、日本語でもそのまま「フィットする」という意味で使われる動詞ですが、こういう場合にも使えるのですね!とても新鮮に感じた表現のひとつです。

「僕はここでは浮いてるんだよね」
翻訳調英語:I don’t belong here.
こなれ英語:I don’t fit here.

fitを使った例をもうひとつ。初めの文の belong は、ご存じのとおり「属する・所属する」「一員である」を意味する動詞ですが、「(あるべき所に)ある・いる」「ふさわしい」「馴染んでいる」という意味もありますのでぜひ覚えておいてください。fit には、動詞で「合う」「適合する」「調和する」という意味がありますので、どちらの表現も日本語の「浮いている」という意味合いをよく表していると思います。

「まだ彼から何も連絡ないの?」
翻訳調英語:You haven’t heard from him yet, have you? 
こなれ英語:Still nothing from him?  

上記2つの文は、正反対の視点から同じ内容を表現しています。初めの文は、現時点で「まだ行われていない行動」に視点を置いた表現。日本語の内容を見て、多くの人がまず思い浮かべるのがこの構文だと思います。2つ目の文は、副詞 still を使って「今もなお続いている状況」に視点を置いています。こちらは、必要最低限の単語だけで効果的に状況を表現していて、まさに「こなれ英語」の極みという感じがします。物事を英語でうまく表現するためのコツは、語彙の広さよりも発想の柔軟性にあると思います。

「出て来なさい!」
翻訳調英語:Come out!
こなれ英語:Show yourself!

この例には、日本語的発想と英語的発想の違いがよく表れています。Show yourself. は、日本人にはなかなか発想できない表現ではないでしょうか?この表現には、主語や目的語をより明確にするという英語の特徴がよく出ていると思います。なお、show oneself には「姿を見せる」という意味から転じて「本性を表す」という意味もあります。

「彼が解雇されるのは不当かもしれない」
翻訳調英語:Maybe, it’s not fair for him to be fired.
こなれ英語:Maybe, he doesn’t deserve to be fired.

deserve は「~に値する」「~にふさわしい」という意味の動詞。日本人がこの動詞を使う場合、例えば、She deserves a special award.: 「彼女は特別賞(を受ける)にふさわしい」のように、肯定文かつポジティブな内容で使うことが多いと思いますが、ぜひ否定文の deserve の用法もマスターしていただきたいと思います。not deserve で 「~には値しない」「~である・するいわれはない」という意味になり、日常のさまざまな出来事をちょっと大人っぽく表現することができます。

(タクシーの運転手に)約束に遅れそうなので、急いでもらえますか」
翻訳調英語:I’ll be late for my appointment. Could you speed up?
こなれ英語:I’m running late for my appointment. Could you step on it?

「遅れそう」「遅れつつある」を表現する be running late も、ネイティブが頻繁に使うイディオムでありながら、日本人があまり使えていない表現のひとつです。また、車で「急ぐ」というと、どうしても speed という言葉が頭に浮かびますが、実は、ネイティブがよく使うのは step on it という表現。「it (アクセル) を踏む」という意味から転じて「急ぐ」という意味で使われますが、この表現は、車に乗っている時以外でも「急いで行動する」という意味で幅広く使われます。

以上、ネイティブの「こなれ表現」はいかがでしたでしょうか?洋画や海外ドラマの英語をよく聞いてみると、ネイティブは意外とシンプルな英語で会話をしていることがわかります。あなたの英語学習の参考になれば幸いです。

それでは、どうぞ良いお年を❣

See you!