リスニングは地道に攻略

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4月に入ってから、東京には初夏のような春がやって来ました。桜の季節も良いですが、個人的には新緑が目に眩しい季節が大好きなので、これから散歩が楽しくなりそうです。

さて、日本人にとって英語で最も習得が難しいのはリスニングのスキルだと言われる一方、ひとり学習をコツコツ地道に続けることで最も成果が出るスキルはリスニングだとも言われています。ですから、もしあなたが長い間リスニングにお悩みをお持ちだとしても、決して諦める必要はありません。ここで一度、これまでの学習方法を見直してみませんか?

確かに、リスニングは地道に学習を続けることで成果が上がりますが、この『地道に』という言葉がポイントです。リスニングを攻略するには、広い視野で取り組み、しっかり検証し、必要な対策を講じることです。以下で具体的にお話しします。

英語が聞き取れない要因はいくつも存在します。主な要因を整理してみましょう。ただし、英語が速すぎて聞き取れないというケースについては、それぞれの学習者が感じる速さに個人差があるためコメントを控えます。

◆ 単語を聞き取ろうとしていませんか?

リスニングが苦手という人や英語初心者の人は、多くの場合、このスタンスで英語を聞き取ろうとしています。残念ながら、このような聞き取り方では英語を確実に聞き取れるようにはなりません。このことは、後述の『音変化』や『英語のリズム』の理解とも密接に関係しています。英語の話し言葉では、ひとつの単語が前後の語句と連結してかたまりとなって発音されたり、一部の音が同化されて聞こえなくなったりする現象が起こります。英語を聞き取るには、単語にフォーカスするのではなく、意味のあるかたまり、フレーズをとらえるように聞くことが大切です。また、英語は一字一句を聞き取る必要はありません。

◆ 音変化を理解していますか?

文字で見れば簡単な単語ばかりなのに聞き取れなかった、という経験を誰もが一度はお持ちではないでしょうか?ナチュラルな口語英語では、単語の前後で音がつながったり、脱落したり、時には変化するといった現象が頻繁に起こり、文字で見る英語とはまったく違う音となって発音されます。この現象は、英語では一般的に linking や connected speech と呼ばれます。こうした音の変化には、連結、短縮、脱落、同化、弱形、フラッピング( t と d の音が柔らかい音に変化する)の種類があり、それぞれの変化には一定のルールがあります。あまり馴染みがないという方は、ぜひ参考書などで一通り学習することをお勧めします。

◆ 慣用表現に馴染んでいますか?

日本の英語学習は、これまでリーディング中心、つまり書き言葉中心の学習でした。実のところ、書き言葉と話し言葉には実質的に大きな違いがあります。この違いのひとつが前述の音変化であり、もうひとつは、句動詞やイディオムなどの慣用表現が使われる頻度にあります。例えば、口語英語では、「やり遂げる」なら achieve よりも pull off、「理解する」なら understand よりも figure out、「経験する」は experience よりも go through、「(火を)消す」なら extinguish よりも put out というように句動詞で表現される頻度が圧倒的に高いのです。他にも、You can say that again. (まったくそのとおりです)、You don’t say. (まさか)、Keep it up! (その調子!) など、知っていなければ意味がわからない慣用的な口語表現が多用されます。日頃からこうしたフレーズや慣用表現に触れ、ストックを増やしていくことがリスニングの向上に役立ちます。

◆ 英語のリズムを習得していますか?

リスニングのスキルは、英語のリズムを習得することにかかっていると言われます。さらに、英語が「通じない」大きな理由のひとつは、英語のリズムを習得できていないことにあるとも言われています。英語では原則として、名詞、動詞、形容詞など内容語と呼ばれるものは強く・ゆっくり発音され、前置詞、助動詞、接続詞など機能語と呼ばれるものは弱く・速く発音されます。この『強く・ゆっくり』と『弱く・速く』の連続で英語特有のリズムが生まれます。「原則として」と記したのは、時には話し手の意図によって強調される部分が変わることがあるためです。英語のリズムを習得する方法は極めてシンプルです。ネイティブスピーカーの発音をひたすらまねて繰り返し練習すること。シャドーイングやリピーティングなどの手法を取り入れながら、英語のリズムが体に馴染むまで続けてみましょう。

◆ 英語を口に出す練習を行っていますか?

リスニングの攻略は、正しい発音や正しいリズムを自ら身に付けることから始まると言っても過言ではありません。自分が再現できる音やリズムは、それを聞いた時に頭の中のデータベースで認識することができるからです。リスニングのトレーニングには、ぜひリピーティング、音読、シャドーイングなどのアウトプット練習を取り入れるようにしてください。

ここまでの内容で、あなたに思い当たる点はあるでしょうか?上記を踏まえて、あなたは一体どこでリスニングに失敗しているのかを検証してみてください。まずは、スクリプト付きの音声(リスニング教材等)を用意します。できるだけ会話の音声を選んでください。長さは1分程度もあれば十分です。はじめに、スクリプトを見ずに耳だけで音声を聞いてみます。聞き終わったら、うまく聞き取れなかった部分をスクリプトで確認してください。そして、なぜその部分が聞き取れなかったのかを、ひとつずつていねいに検証してみてください。「なぜこの部分の音が処理できなかったのか?」「なぜこの部分の意味が取れなかったのか?」と自分なりに分析していきます。

このような検証・分析作業を行っていると、色々な気づきがあるはずです。例えば、「英文を見ると、ここにはこの言葉以外ありえないのに、なぜか聞き取れなかった」とか、「音ははっきり聞こえたのに、文字を見るまでこの単語と気づかなかった」とか、「認識できない音が聞こえたのに、簡単な単語が並んでいるだけだった」とか、「なるほど、この単語の並びだとこういう音になるのか!」といった気づきですね。あるいは、「この表現はこのように使われるのか?文法を見直す必要があるかも」という気づきがあるかもしれません。

多くの英語学習者がリスニングで伸び悩んでいる理由は、こうした気づきを得たことですっかり学習した気分になり、トレーニングを終了してしまうことにあります。ですが、実は、ここから先が本当の意味でのリスニングのトレーニングとなります。ここで得た気づきに対処するアクション、つまり、自分の弱みをひとつずつ克服するためのアクション、今の自分に足りないものを強化するアクションを学習プランにきちんと反映させることが、その先の大きなスキルアップにつながります。正しい発音や音の変化を学ぶ必要性を感じたならば声を出す練習を取り入れたトレーニングに、文型や構文の重要性を改めて感じたならば文法の復習に、慣用表現の知識が乏しいと感じたならば会話フレーズの学習などに、まずは重点的に取り組んでみましょう。

弱点をしっかり検証・分析し、しっかり対処するーーそれ以外にリスニングの攻略法はありません。

See you!