パラグラフのロジックを知る

こんにちは、eigomob.com へようこそ!

山形に住む叔母からさくらんぼが届きました。毎年、初夏の訪れを感じさせてくれる私の大好きな果物です。甘さと酸味の絶妙かつ上品なバランスが私の味覚にかなりヒットするようで、子供の頃は、一度死ぬほど食べてみたいと思ったものです。今年のさくらんぼは、天候不順の影響で不作ということですが、毎朝おいしくいただいて幸せなひとときを過ごしています!

さて、今回のテーマは、英文のパラグラフ(段落)を迅速に読解するためのポイントです。例えば、読まなければならない英語の資料が沢山ある場合、できるだけ短い時間で要点だけを効率よく把握したいものです。ひたすら時間と戦うTOEIC®のリーディング・セクションに取り組む時も同じですね。「語彙力を上げればよいのでは?」と思う方がいらっしゃるかもしれません。確かに、語彙力も速読のスキルと比例関係にあるとは思いますが、ここでは、パラグラフの論理を読み解くことで、読解力アップにつながるアプローチをご紹介します。

実は、英文のパラグラフの構成には一定のロジックがあります。そのロジックを念頭に置きながらパラグラフを読むことで、その要旨を素早く掴むことができるようになります。

それでは、英文パラグラフの構成要素について説明します。

a) トピック (topic):
 パラグラフの主題、テーマとなるもの。そのパラグラフが何について書かれているかを表
 すもの
b) 書き手の主張 (assertion):
 パラグラフのトピックについて書き手が言いたいこと
c) トピック・センテンス (topic sentence):
 パラグラフのトピックおよびそれに関する書き手の主張を含むセンテンス
d) 具体的詳細 (specific details):
 
トピック・センテンスを裏付ける具体的で詳しい内容を表す(複数の)センテンス

どんなに長いパラグラフであっても、これらの構成要素は変わりません。この中で特に重要な要素は、トピック・センテンスと呼ばれる一文です。トピック・センテンスとは、そのパラグラフで言いたいことを簡潔にまとめた一文で、パラグラフのトピックと書き手の主張の両方を含むものです。英文パラグラフを効率よく読み進めるためには、このトピック・センテンスを識別することが大切です。トピック・センテンスを認識することができれば、そのパラグラフ全体がどのような内容を語っているかを自ずと理解することができます。

例1
Jessica always works hard. She does her assignment on time. She is never late. She tries to do everything as well as she can.

a) トピック:[Jessica]
b) 書き手の主張: [she (Jessica) always works hard]
c) トピック・センテンス:[Jessica always works hard.]
d) 具体的詳細 (3つ):
[she does her assignment on time]
[she is never late]                   
[she tries to do everything as well as she can]
              
例1のように、多くのパラグラフでは、トピック・センテンスがパラグラフの冒頭部分に置かれます。

例2
Harry likes western movies. Mary loves romantic movies. Mike enjoys spy movies while Joe likes to see sci-fi movies. Different people prefer to see different movies.

a) トピック:[different people]
b) 書き手の主張: [different people prefer to see different movies]
c) トピック・センテンス:[Different people prefer to see different movies.]
d) 具体的詳細 (4つ):
[Harry likes western movies]
[Mary loves romantic movies] 
[Mike enjoys spy movies]
[Joe likes to see sci-fi movies]

例2のケースでは、トピック・センテンスがパラグラフの最後に置かれています。

トピック・センテンスを知るメリットは、全文を読まなくても、そのパラグラフにどのような内容が含まれているか、または含まれていないかを予測できることにあります。例えば、TOEIC®のリーディング・セクションでは、パラグラフの主旨に合致する英文/合致しない英文を選択肢の中から選ぶような問題が出題されます。こうした出題に正しく回答するためにも、何がトピック・センテンスであるかを正しく理解することが必要です。トピック・センテンスの内容に関連していないものや、その内容をサポートしていないコメントやステートメントは、本来そのパラグラフにはそぐわないものと判断することができます。

それではここで、次のパラグラフのトピック・センテンスはどこにあるか考えてみてください。

例3
He likes drinking beer when he is with his friends, but he likes to have smooth whisky when he spends a night alone listening to his favorite music. When he has a good meal, he usually enjoys an elegant wine. At times when he goes out to a bar, he also likes to try some cocktails.  

答えはおわかりですか?「このパラグラフにはトピック・センテンスがない!」が正解です。

トピック・センテンスとは、「パラグラフのトピックとそれに関する書き手の主張(言いたいこと)の両方を含む」センテンスです。では、このパラグラフにトピック・センテンスを付け加えるなら、以下のうちどれが最適でしょうか?

1. My brother likes drinking very much.
2. My brother likes many kinds of drinks.
3. My brother likes trying different cocktails.
4. My brother likes different kinds of drinks to suit his mood.
5. My brother likes to have a drink all day long.

最適なトピック・センテンスは、4. My brother likes different kinds of drinks to suit his mood. (私の兄は気分に合わせて色々なお酒をたしなむ) であることがおわかりかと思います。

重要なポイントを改めてまとめると、トピック・センテンスは、パラグラフのトピックとそれに関する書き手の主張を同時に含む一文で、そのパラグラフの構成内容全体を決定付けています。つまり、そのパラグラフに含まれるすべてのセンテンスは、あくまでもトピック・センテンスの内容をサポートする/裏付けるものでなければなりません。別の言い方をすれば、トピック・センテンスは、そのパラグラフに記述されている個別詳細な内容をまとめた総論であると言うことができます。

いかがでしたか?パラグラフのロジックは極めてシンプルです。このロジックを意識するだけで、長文読解のハードルもかなり低くなるのではないでしょうか?そして、すでにお気付きと思いますが、このロジックを知ることは、英文読解に留まらず、英語で文章を作成する場合にも、またスピーチの内容などを準備する際にも強力な武器となるはずです。ぜひ色々な場面でお役立ていただければ幸いです。

See you!