疑問詞が聞き取れない!

こんにちは、eigomob.com へようこそ!

ここ最近、寝る前に60度に沸かしたお湯を飲むことが習慣になりました。日中はお茶やコーヒー、夕方以降はついアルコールを飲みがちな身体がホッとして、気持ちよくお休みモードに入ることができるので毎晩続けています。

さて、今回のテーマは、疑問詞の聞き取りについてです。あなたは、ネイティブスピーカーが発音する疑問詞を瞬時に正しく認識できる自信がありますか?例えば、ネイティブとの会話で、何かをシンプルに質問されているだけなのに、文頭の疑問詞が why なのか what なのか、それとも where なのか判別できなかった、などという経験をお持ちの方も少なくはないと思います。英語のリスニングが苦手でも、まさか疑問詞くらいは簡単に聞き取れるだろうと思っている方こそ要注意です。なぜなら、会話における疑問詞の発音は、私たちが普段イメージする教科書的な発音からはかけ離れたものになるからです。

誰でも簡単そうに思える疑問詞の聞き取りがなぜ難しいのでしょうか?第一の理由は、「疑問詞は弱く短く発音される」ことにあります。英語の疑問詞は、疑問文において重要な意味を持つ要素でありながら、音声上は必ずしも強調されません。特にカジュアルな会話の中では、弱く短く、曖昧な音で発音される傾向があります。

会話における弱く短い疑問詞は、以下のように発音されます。

・ When → wən
・ Where → wə(r)
・ What → wə(t)  
・ Why → wə(i)
・ Who → u: / uə
・ How → haə / hə (hが残る場合) / au / aə (hが落ちる場合)
* [ə]: 曖昧母音。「ア」と「エ」の中間的な音で、弱く短く発音される。

また、疑問詞では、後に続く母音や子音によって音の連結、脱落、同化といった「音の変化が起こりやすい」という特徴があります。その結果、会話における疑問詞の発音は、疑問詞単体での発音とはかなり異なる音となる場合が多いのです。以下に、音の変化も含めた文頭の疑問詞の発音例をいくつか紹介します。

When are you leaving? → Wənəryu leaving?
・ When did you come back? → Wən-didju come back?
・ When is it? → Wənizit?
Where are you from? → Wərəyu from?
What are you doing? → Wəddaya doin’?
What do you say? → Wəddya say?
・ What is it? → Wəddizit?
・ Why are you there? → Wəiəryu there?
・ How are you doing? → Həwərya doin’?
・ How is it going? → Haə’zit goin’?

上記のように、ナチュラルスピードで話される会話では、疑問詞が後に続く単語と結びつき、ひとつのかたまりのように発音されます。この場合、疑問詞自体の発音は強調されず、文頭の音も弱く短く始まるため、私たち日本人にとっては識別が困難になります。もともと日本語には英語のような強弱アクセント(ストレスアクセント)が存在しないため、私たちは英語に特徴的な弱く始まる文頭の音を聞き取るのが苦手です。

このような英語を聞き取るためには、日本人にありがちな「英語を単語単位で聞き取ろうとする」習慣から卒業し、チャンクと呼ばれる意味を持つかたまりの単位で英語を聞き取る必要があります。例えば、When did you や Where did you など疑問詞から始まる英語を聞き取ろうとする時、多くの日本人は、まず When や Where という単語を聞き取ろうとします。一方、ネイティブは、Wən-didju / Wər-didju のような意味のかたまり単位で音を聞いて処理しています。単語単位で英語を聞くことが癖になっていると、子音の連結や脱落などによる音の変化を認識することができません。

英語は、疑問詞に限らず音の変化が起こりやすい言語です。こうした音の変化は、カジュアルな英語になればなるほど強まる傾向にあり、変化の度合が強まるほど、どの音も似たような音となって聞こえてきます。そのため、たとえネイティブであっても、音だけに頼るリスニングでは必ずしも一度で正確な聞き取りができるとは限りません。例を挙げると、Why was that? というフレーズがごく早口で発音された場合、What was that? にも Where was that? にも聞こえます。こうしたケースでは、ネイティブでも、前後の文脈から内容を判断することなしに聞き分けるのは難しいということです。

そもそもネイティブは、英語を聞き取る際に、その文脈から次に来るであろう英語が予測できています。つまり、ここではこんな疑問詞が来るだろうと予測できるということです。こうした予測ができていると、変化した音や多少崩れた音も聞き取ることができますが、予測が働かないと変則的な音を聞き取ることができません。多くの日本人は、「英語の語順予測に慣れていない」ため、カジュアルに話される英語や、速いスピードで話される英語にうまく対処することができないのです。

それでは、弱く短く発音される疑問詞や、音が変化した疑問詞を聞き取るための対策として、どのようなトレーニングが効果的でしょうか?そのメニューは極めてシンプルです。

I 短い疑問文を大量に聞き込む
まずは、When、Where、What、Why、Who、How といった疑問詞から始まる「ごく短い疑問文」を集めた音声教材(ナチュラルスピードかつカジュアルな会話の音声)などを用意して、これを集中的に何度も聞きます。文字を見ただけでネイティブの発音が頭でイメージできるようになるまで、何度も聞き込むようにしてください。同じような語順で疑問詞が異なる英文を大量に聞くことで、脳内に疑問詞の識別フィルタが形成されます。

II 短い疑問文をナチュラルスピードで口に出す
上記の短い疑問文の音声を聞きながら、やや遅れて音声の声をまねるシャドーイングを行います。この練習は、特に音節のかたまりを意識しながら、ネイティブの発音とスピードについていけるようになるまで繰り返し行います。上記ができるようになったら、同じ疑問文をネイティブの発音・スピードで音読する練習を行います。

次に、同じ疑問文をネイティブの音声に続きリピーティングする練習を行います。リピーティングは文字を見ずに行い、耳で聞いた音をそのまま口に出せるようになるまで練習します。この時、ネイティブが弱く短く発音する音は、そのまま弱く短く口に出せるように練習してください。自分で発音できるようになった音は、耳で聞いた時にも脳が認識しやすくなるためです。

III ナチュラルスピードの音声を聞いて疑問詞を拾う
仕上げに、ナチュラルスピードで話されている音声(映画やドラマなど)を1分程度聞き、その中で聞き取れた疑問詞だけをメモしてスクリプトで答え合わせをします。実は、この方法は、疑問詞の聞き取りに限らず、自分が苦手とする音を克服するための効果的な方法です。例えば、l と r の音の区別が得意ではないという人なら、「l を含む単語だけ」 「r を含む単語だけ」 をそれぞれ聞き取る練習をします。

なお、英語の聞き取りには、ただ音を待つというスタンスではなく、構文を予測して内容を積極的に読み取ろうとする姿勢が必要です。例えば、「ここでは疑問詞が使われるはず」 「この話題であれば、When か Where のはず」という具合に、続く英語を予測します。これにより、弱い音や変化が加えられた音でもそれなりに認識できるようになります。

以上、疑問詞の聞き取りがなぜ難しいのか、リスニングのポイントと対策も含めてまとめてみました。

学習することは「擦り込む」ことです。特に英語学習では、この「擦り込み」が大切です。では、「擦り込み」とは何か?それは、繰り返しであり、触れる頻度であり、最終的には習慣と言えるのではないでしょうか?あなたの英語学習は、今どのレベルにありますか? 

See you!