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ミラノ・コルティナ五輪、盛り上がりましたね。夢を叶えた選手たちのうれし涙や、目標にあと一歩届かなかった悔し涙を見ていると、心を強く揺さぶられ、私も連日泣きっぱなしでした。私たち人間のこの強烈な共感パワーは、一体どこから湧いてくるのでしょうか?
さて、今回は、日本人が英語を聞き取る上で大きな障害となっているさまざまな「思い込み」について取り上げたいと思います。実は、日本人学習者が英語を聞き取れない原因は、「音」そのものよりも無意識の「思い込み(脳のクセ)」によるところが大きいのです。
あなたには、以下のようなクセはありませんか?
・ 英語の音をカタカナ発音のイメージでとらえがち
・ 知っている単語が聞こえると、瞬時に知っている意味だと決めつけてしまう
・ 聞こえた音を知っている語句に結びつけてしまう
・ キーワードだけ聞き取れれば、意味は取れると思っている
誰にでも思い当たるものがひとつはあるのではないでしょうか?以下に詳しく説明していきます。
日本で生まれ育った人なら、多かれ少なかれ無意識レベルでのカタカナ発音の影響があるものです。英語は、「子音中心(子音で単語を区切る)」「音がつながる・変わる」「弱くなる音がある」言語、日本語は、「母音中心」「音を区切る」言語です。カタカナ発音は、英単語をあくまで日本語の言語ルールに当てはめたものであるため、本来の英語の音との違いが誤った認識を生んでしまいます。
例: bitter / little
・ イメージ:ビター / リトル
・ 英語発音:ビラー・ビダー(t がほぼ d の音)/ リル(ル)
・ 「ビター」、「リトル」と待ち構えていると聞き取れない。
例: internet / center
・ イメージ:インターネット / センター
・ 英語発音:イナネッ・イナネット(t は弱まる)/ セナー
・ 全部の音がはっきり発音されると思い込んでいると聞き取れない。
例: going to / should have
・ イメージ:ゴーイングトゥ / シュドゥハブ
・ 英語発音:gonna(ガナ) / should’ve(シュダヴ)
・ 知っているはずの単語が別物の音になる。
カタカナイメージを払拭するためのトレーニングとしては、まず、連結、脱落、同化、弱形など、英語の文中における音変化を十分に学習・理解した上で、スクリプト付きの音声素材で精聴やディクテーション、シャドーイングの練習などを行うことがお勧めです。
🔹知っている単語が聞こえると、瞬時に知っている意味だと決めつけてしまう
英語は、多義語が非常に多い言語です。「知っている意味」にすぐに飛びつかずに、文脈から意味をとらえていく姿勢が大切です。
例: The station is right behind the bank.
・ すぐに思い浮かぶ意味:駅は銀行裏の右手にある。
・ 正解:駅は銀行のすぐ裏にある。
場所を聞いて right と言われると、すぐに「右」を思い浮かべる人は多いと思います。この場合の right は副詞で behind the bank を修飾しています。
例: He asked me where to park.
・ すぐに思い浮かぶ意味:彼は私に公園がどこにあるか聞いた。
・ 正解:彼は私にどこに車を駐車するか聞いた。
where to park という単語の並びから「公園までの道順」を連想する人もいるかもしれません。ここでのpark は名詞ではなく、「駐車する」という意味の動詞です。where to+動詞の原形は、「どこで~すべきか」「どこへ~したらよいか」という意味の名詞句です。park が公園の意味で使われていれば、正しくは the park もしくは a park となります。
例: He was standing still there when his mother called his name.
・ すぐに思い浮かぶ意味:母親が名前を呼んだ時、彼はまだそこに立っていた。
・ 正解:母親が名前を呼んだ時、彼はそこにじっと立っていた。
ここでの stand still は「じっと立っている」 「立ちすくむ」という意味のイディオムです。「まだ」 「今もなお」の意味の still であれば、動詞 stand の前に置かれるはずです。
ひとつの単語にはたくさんの意味や用法があります。文脈をつかむより先に「知っている意味」に飛びついてしまうのは危険です。リスニングでは、文法・文脈をおさえながら意味を正しくとらえることが大切です。
🔹聞こえた音を知っている語句に結びつけてしまう
これは mondegreen(モンデグリーン) と呼ばれる脳の補完作用で、「聞こえた音を自分にとって意味のある言葉に無意識に当てはめる」現象です。日本人にありがちな聞き違えの例をいくつか紹介します。
例: an ice → a nice に聞こえる
・ 聞こえた英語:She gave me a nice cream.
・ 正解:She gave me an ice cream.
例: an aim → a name に聞こえる
・ 聞こえた英語:He achieved a name.
・ 正解:He achieved an aim.
例: I’ll ask → I last に聞こえる
・ 聞こえた英語:I last him for help.
・ 正解:I’ll ask him for help.
例: saw her → sore に聞こえる
・ 聞こえた英語:I sore yesterday.
・ 正解:I saw her yesterday.
例: grade A → gray dayに聞こえる
・ 聞こえた英語:It was a gray day project.
・ 正解:It was a grade A project.
英語では、音の連結や脱落が頻繁に起こるため、変化した音と脳の記憶がずれていると、正しい英語を聞き取ることができません。これを克服するためには、まずは、母音・子音単体の音を、発音記号とのマッチングも含めてひととおりきちんと確認・認識することが大切です。その上で、音声変化(連結、脱落、同化、弱形等)がどのような場合に起こるかを学習し、それらの音を自ら口に出して練習するトレーニングが有効です。
🔹キーワードだけ聞き取れれば、意味は取れると思っている
これは、よくある大きな誤解です。キーワードを聞き取るリスニング手法が、試験のテクニックとして推奨されることはあります。しかし、英語を正確に聞き取るためには、重要な意味を持ちそうな単語に集中するだけでは不十分です。
例: She said she rarely studied English hard.
・ キーワード:she / said / studied / English
・ rarely (めったにない)を聞き逃すとまったく逆の意味になる
例: I’ll have finished my report by dinner.
・ キーワード:I / have finished / report
・ have finished で、「レポートを仕上げてしまった」と認識するが、実際の時制は未来完了形
(will have+過去分詞)。正しくは「(夕食までには) 仕上げてしまっているだろう」の意味。
例: He was supposed to get there before noon.
・ キーワード:he / supposed / get there
・ be supposed to の用法がきちんと処理できないと、「到着している予定だった(実際には到着
していない)」というニュアンスが取れない。
例: I saw him enter the building from the balcony on the fifth floor of the Annex.
・ キーワード:I / saw / him / enter / building / balcony / fifth floor
・ 前置詞 from 以下の構成が正しく処理できるかがポイント。[on the fifth floor of the Annex]
は balcony を、[from the balcony on the fifth floor of the Annex] は saw を説明。全体
の意味は「私は、彼がビルに入るのを別館5階のバルコニーから見た」となる。
聞き取った部分的な単語だけに基づいて英文の内容を推測することにはリスクがあります。上記のように助動詞や副詞、前置詞にもそれぞれ重要な役割があり、これらを無視した正しい内容の理解はありえません。
英語を聞き取る際には、単語のみに集中せず、文法や文構造を把握しながら意味を取っていく練習を重ねることが重要です。文法や文構造を「音」で理解するためには、前述の音声変化の習得に加え、聞き流しではなく、精聴で一語一句を把握する練習が欠かせません。例えば、動詞のパーツだけを集中的に聞いて、時制や、肯定か否定かを瞬時にとらえられるようにする練習や、助動詞や前置詞だけを拾う練習など、パーツごとに耳を鍛えるトレーニングも効果的です。
最後に、今回のまとめです。
英語が聞き取れない原因は:
・ 音の問題だけではない
・ 語彙不足だけでもない
・ 「思い込み」がフィルターになっている
ということがおわかりかと思います。
自分の思い込みに気づき、それをひとつずつ解消していくことで、あなたのリスニング力は確実に向上します。英語リスニングは、音声を習得すると同時に、あなたの認知修正を行うトレーニングでもあります。
See you!