over は終わりじゃない

こんにちは、eigomob.com へようこそ!

over は、とても不思議なワードですね。game over は「終わり」を意味するのに、start over は「やり直し」を意味します。switch over は「切り替える」こと、pull over は車を「脇に寄せて」止めること、chat over coffee はコーヒーを「飲みながら」おしゃべりすること、overwork は働き「過ぎ」、さらに、over and over again は「何度も何度も」繰り返す状況を表現します。

大学でアメリカ人の先生の授業を受けた時や、外資系企業で働き出した頃に気づいたことは、ネイティブスピーカーの会話には、やたらと over の付く表現が多いということ。この over をいつか攻略したいと思いつつ、気づけば長い時間が経ってしまいました。over という単語は、シンプルでありながら、とても広範に使われていて、私たち日本人がつまずきやすい単語のひとつです。辞書で調べると、膨大な量の意味や用法が紹介されていて、詳しく見ていけば見ていくほど、迷路に引きずり込まれてしまうような感覚に陥ります。

ネイティブたちが会話で頻繁に使う表現は、主に句動詞(「動詞+前置詞」や「動詞+副詞」の組合せ)としての over が中心になっています。そこで、英語学習者が over を使いこなしていく上で、まずは使用頻度が高く、意味が取りにくい句動詞を攻略していくことが、実用的で有効な手段ではないかと思います。今回は、会話でよく使われる over の主な句動詞を「意味別」に整理してみました。

🔹「やり直し・繰り返し」系 over
think over (よく考える)
・ I’ll think it over. (よく考えてみるよ)
・ She thought over his proposal. (彼女は彼の提案をじっくりと考えた)

go over (見直す、確認する)
・ Let’s go over the plan again. (計画をもう一度確認しましょう)
・ He went over the document before the meeting. (彼は会議の前に資料を見直した)

do over (やり直す、作り直す)
・ I made a mistake, so I have to do it over. (ミスをしたのでやり直さないといけない)
・ His student did the whole report over. (彼の生徒はレポートを全部書き直した)

🔹「移動・方向」系 over
come over (やって来る)
・ Come over here. (こっちに来て)
・ My friend came over to my house. (友人が私の家にやって来た)

go over (向こうへ行く)
・ He went over to talk to her. (彼は彼女に話しかけに行った)
・ Let’s go over to their place. (彼らのところへ行こう)

* come over / go over は、ネイティブが頻繁に使う言い回しです。短い距離の移動でも、いちいち over を付けます(笑)。

move over (場所を空ける、脇へどく)
・ Move over a bit. (少し詰めて)
・ Can you move over? (ちょっとどいてくれる?)

* 電車の座席などを詰めてもらうときの表現としては、上記のほかに scoot over という表現もよく使われます ⇒ Could you scoot over a bit? (少し詰めていただけますか?)

🔹「乗り越える・克服」系 over
get over (克服する、回復する)
・ It took me time to get over the breakup. (私は別れを乗り越えるのに時間がかかった)
・ The tennis player got over his injury. (そのテニス選手は怪我から回復した)

*「克服する・打ち勝つ」という意味では、動詞 overcome も日常的によく使われます ⇒ They overcame their fears. (彼らは恐怖に打ち勝った)

🔹「支配・影響」系 over
take over (引き継ぐ、乗っ取る)
・ She took over the project. (彼女はプロジェクトを引き継いだ)
・ The company was taken over. (その会社は買収された)

rule over (支配する)
・ The king ruled over the land. (王がその土地を支配していた)

🔹「裏返し・逆転」系 over
turn over (ひっくり返す、引き渡す)
・ Turn it over. (それを裏返して)
・ He turned the business over to his son. (彼は事業を息子に引き継がせた)

flip over (パッとひっくり返す/返る、パラパラめくる)
・ The boat flipped over. (ボートがひっくり返った)
・ The girl was flipping over the book pages. (その少女は本のページをパラパラめくっていた)

🔹「終わり・完了」系 over
be over (終わる)
・ The party is over. (パーティーは終わった)
・ It’s all over now. (もう全部終わりだ)

get over with (嫌なことを終わらせる)
・ Let’s get it over with quickly. (さっさと終わらせよう)
・ I just want to get this meeting over with. (この会議を早く終わらせたい)

🔹「覆い・包み隠し」系 over
cover over (覆い隠す)
・ The kids covered over the hole. (子供たちは穴を覆い隠した)
・ He tried to cover over his mistake. (彼は自分のミスを隠そうとした)

🔹「ビジネス」系 over 句動詞 (ビジネスで超頻出)
talk over (話し合う)

<意見調整の場で便利な表現>
・ Let’s talk it over. (話し合いましょう)
・ We need to talk over the problem. (この問題について話し合う必要があります)

look over (ざっと確認する)

<軽めのチェック>
・ Can you look over this email? (このメールに目を通してもらえる?)
・ I just looked it over quickly. (ざっと確認しただけです)

come over (来る)

<社内でよく使われるカジュアル表現>
・ Can you come over to my desk? (私の席までちょっと来てもらえますか?)
⇒ 「移動・方向」系参照

go over (見直す、確認する)

<会議・資料チェックの場で頻出> ⇒ 「やり直し・繰り返し」系参照

think over (よく考える)

<意思決定の場で便利な表現> ⇒ 「やり直し・繰り返し」系参照

take over (引き継ぐ、担当する)

<人事・プロジェクト変更の場で頻出>
・ I’ll take over from here. (ここからは私が引き継ぎます)
・ Who is taking this case over? (この案件は誰が引き継ぎますか?)
⇒ 「支配・影響」系参照

hand over (引き渡す、譲り渡す)

<フォーマル寄りの丁寧な表現>
・ We will hand over the document tomorrow. (明日書類を引き渡します)
・ He handed over his responsibilities. (彼は職責を譲り渡した)

turn over (売り上げる、引き渡す)

<文脈で意味が変わる重要表現>
・ The company turned over $1M last year. (その会社は昨年100万ドルを売り上げた)
・ Please turn over the file to the client. (このファイルをクライアントに渡してください)
⇒ 「裏返し・逆転」系参照

* turnover (名詞)は、アメリカ英語では主に「離職率」、イギリス英語では「売上高」を意味します。

run over (時間・容量を超える)

<会議等でよく使われる>
・ The meeting ran over by 20 minutes. (会議が20分長引いた)
・ The budget has already run over . (すでに予算は超過している)

overを使った句動詞は、ほかにもまだありますが、今回は特に使用頻度が高いものを紹介しました。

最後に、over のおもしろい形容詞用法としては、目玉焼きの「両面をよく焼いた」という意外な意味があります。同じ両面焼きでも、over-easy (軽い両面焼きで黄身がトロトロのもの)、over-hard (黄身がしっかり固まるまで焼いた両面焼き)と、over で焼き加減まで表現できます。卵料理の好みは十人十色ですが、あなたはどんな焼き加減の目玉焼きがお好みですか?ちなみに、私の好みは、over-medium (黄身が半熟の両面焼き)です。

See you!