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いま世界を騒がせている最もホットな話題のひとつは、「人間はこの先 AI を制御しきれるか」問題です。これは、AI の開発を減速させれば済むなどという簡単なお話ではないようです。メディアがこの問題を取り上げ出した時、真っ先に頭に浮かんだのは、トム・クルーズが主演したあの人気映画の完結編です。もちろん、たくさんの方がご覧になったことと思いますが、あの脅威がすでに現実のものになり始めていると考えると、とても怖いですね。
以前、仕事で知り合った友人と AI の脅威について話し合ったことがありました。その時の私たちに共通の思いは、「AI は人間を介して物事を学ぶので、開発者も利用者も良識ある人であって欲しい」ということでした。私たちは、最終的に「人類の知性と良識を信じて、それに未来を委ねる」ことしかできないのではないでしょうか?
それでは、本題に入ります。今回は、とてもシンプルな法則で物事を特徴づけたり、ぼかしたりできる英語表現 ―― 接尾辞「-y」と「-ish」をご紹介します。
まず、以下の英文をご覧ください。
The room was very smoky. (部屋がとても煙たかった)
This wine has a fruity flavor. (このワインにはフルーティーな風味がある)
The rose was pinkish red. (そのバラはピンクがかった赤色をしていた)
His jokes are always childish. (彼のジョークはいつも子供じみている)
上記のように、「-y」や「-ish」で終わる表現は、どちらも「~っぽい / ~のような」と同じような日本語で訳すことができますが、実際にはかなり違う性格を持っています。以下に、詳しく説明します。
▮ 性質・特徴を示す接尾辞:「-y」
🔷 基本イメージ
名詞の後ろに付いて「~の性質を持つ」「~の特徴を表す」「~に満ちた」という意味の形容詞を作ります。「-y」のイメージは、その物の性質・特徴が目立っていることです。
・ smoky = smoke + y → けむい、煙っぽい、煙が充満した
・ fruity = fruit + y → フルーツの風味(香り)のする
・ salty = salt + y → 塩辛い、塩を含んだ
・ spicy = spice + y → 香辛料のきいている、スパイシーな
・ icy = ice + y → 氷のような、凍りついた
・ oily = oil + y → 油っぽい、油性の
・ cloudy = cloud + y →(天気が)曇っている、(ガラスなどが)曇った
・ windy = wind + y → 風が強い
ここで windy は、「風っぽい」という意味にはなりません。実際に風という現象があって、その特徴が強く出ていることを表しています。
🔷「-y」 は「~が多い」という意味にもなる
「-y」は、天候や物の状態などについて「~が多い」という意味でも使われます。これは、「-ish」との大きな違いです。
・ rainy = rain + y → 雨降りの、雨の多い
・ sunny = sun + y → 晴れた、日差しが多い
・ snowy = snow + y → 雪が降っている、雪の多い
・ muddy = mud + y → 泥の付いた、泥だらけの
・ dusty = dust + y → ほこりっぽい、ほこりだらけの
・ lucky = luck + y → 幸運な、運が多い
・ noisy = noise + y → 騒がしい、騒音が多い
・ healthy = health + y → 健康な、健康・元気が多い
🔷 特別な意味になる「-y」
人の性格や行動の特徴などで使われる「-y」には、特別な意味に発展するものが多くあります。
Don’t be so bossy.(そんなに指示ばかりしないで)
・ bossy = boss + y →(ボスのようなというより) 命令したがる、仕切りたがる
He’s a nice man, but a little nosy.(彼は良い人ですが、やや詮索好きです)
・ nosy = nose + y → おせっかいな、詮索好きな
Nobody can shut her chatty mouth.(誰も彼女のおしゃべりを止められない)
・ chatty = chat + y → おしゃべりな、口数の多い
We avoided discussing the touchy subject.(私たちはそのデリケートな話題の議論を避けた)
・ touchy = touch + y → 神経質な、ピリピリした、微妙な、扱いが難しい
She’s been quite moody lately.(彼女は近ごろとても気難しい)
・ moody = mood + y → 気分にムラがある、不機嫌になりやすい
His offer sounds fishy. (彼の申し出は何かうさん臭い)
・ fishy = fish + y → 魚のような、魚臭い、うさん臭い、怪しい
Why are you so edgy today?(なぜ今日はそんなにイライラしているの?)
His artworks have an edgy style. (彼のアート作品には先鋭的なスタイルがある)
・ edgy = edge + y → イライラした、とげとげしい、先端を行く
edge は「端・縁」を意味しますが、edgy は「端っこっぽい」という意味にはなりません。馴染みのない表現もあるかもしれませんが、面白いと思ったものがあれば、ぜひ使ってみてください。
🔷 造語もありの「-y」 の用法
「-y」は、時には造語的に使われることもあります。例えば、ある映画の1シーンで、列車に乗った男女が食堂車で以下の会話を交わします。
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“You recommend anything?”
“The brook trout. A little ‘trouty’ but quite good.”
―― 映画『北北西に進路を取れ』
(1959年、アルフレッド・ヒッチコック監督)より引用
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この会話を日本語にすると、
「お勧めは?」
「カワマスよ。ちょっと〇〇だけど、結構おいしいわ」
(*brook trout = カワマス(魚)、 trout = マス)
さて、trout はマス (魚) ですが、ここでの ‘trouty’ はどのような意味になるでしょうか?ちなみに、trouty は辞書にも載っている単語で、そこには「trouty = マスが多い」とあります。私は、最初「マス料理のボリューム・量がすごい?」と言っているのかと思いましたが、なんだかしっくりきません。
実は、この ‘trouty’ は、女性が即興的に trout + y で表現した造語的形容詞です。「-y」の基本イメージは、その物の特徴が強く表れていること。つまり、‘trouty’ は 「マスの特徴が強く出ている」→「マスの風味が強い」「マス臭い」もしくは「いかにもマスという味がする」というニュアンスを表現しているのです。trouty が引用符で囲まれているのも、この言葉が即興的に作られたものであることを意味しています。
このように、名詞 +「y」が本来どのような意味を生み出す用法であるかを知っているだけで、さまざまな英語表現に対する理解が一段と深まります。
▮ 境界をぼかす接尾辞:「-ish」
🔷 基本イメージ
名詞や形容詞の後ろに付いて「~の傾向がある」「~気味である」「~くらい」「~っぽい」という意味の形容詞を作ります。特に、色、年齢、時間、国、状況や人の性質などを表す語の後に付くことが多いです。「-ish」のコンセプトは、「曖昧・ぼかし・不完全」です。
・ pinkish = pink + ish → ピンクがかった、ピンクっぽい
・ childish = child + ish → 子供じみた、幼稚な
・ thirty-ish = thiry + ish → 30 (歳) くらい
・ seven-ish / 7:00-ish = seven + ish → 7時くらい
・ french-ish = french + ish → フレンチみたいな、フランス(料理)風の
・ tired-ish = tired + ish → 疲れたみたいな、疲れているっぽい
また、口語では、あらゆる単語にハイフン付きの「-ish」を付けて、「~っぽい」という意味合いを自由に表現することができます。例えば、以下のように使われます。
It’s getting fall-ish these days.(最近、秋っぽくなってきた)
Their party was kind of formal-ish.(彼らのパーティーは一応フォーマルっぽいものだった)
Who is that professional-ish woman?(あのプロっぽい女性は誰?)
Did you finish your report?(レポートは書き終えた?)― Finished-ish.(大体ね)
How’s it going?(調子はどう?)― Good-ish. (まあまあ、かな)
🔷 人の性質を表す「-ish」には注意が必要
前述の childish には、「子供っぽい」というよりも「子供じみた」「幼稚な」という否定的なニュアンスがあります。このように、「ish」で終わる形容詞には、曖昧表現というよりも、明確に否定的な意味合いを表すものも多く見られます。
・ selfish = self + ish → 自分勝手な、利己的な
・ foolish = fool + ish → 愚かな、ばかげた
・ snobbish = snob + ish → お高くとまった、気取った
・ peevish = peeve + ish → 怒りっぽい、気難しい
・ mannish = man + ish → 男っぽい、女性らしくない
・ devilish = devil + ish → 悪魔のような、極悪の、邪悪な
ただし、boyish(少年のような、少年っぽい)、girlish(少女のような、少女っぽい)には、必ずしも 「幼稚」という否定的な意味はなく、むしろ、「若々しい」や「初々しい」という肯定的なニュアンスを含んで使われることが多いようです。
🔷 スマートに断定を避ける「-ish」
語尾に「-ish」を付加する用法は、何かをあえて断定したくない場合に使えるとても便利な表現方法です。例えば、友だちに「それ、すごく高かったんじゃない?」と言われた時に、
It was expensive-ish.
と答えれば、「まあ、そこそこの値段だったかも」と、断定を避けながらソフトに回答することができます。また、「彼ってあなたのボーイフレンド?」と聞かれた際に、
He’s my boyfriend-ish. または We’re friends-ish.
と答えれば、「まあ、彼氏みたいなものかも」「友達みたいな関係かな」
と、ちょっと気の利いた返事を返すこともできます。
さらに、若者たちのカジュアルな会話では、「ish」が単独で「まあね」「ちょっとね」という意味で使われることも結構あるようです。
Are you busy lately?(最近、忙しい?)― Ish.(まあ、そんなところ)
最後に、まとめとして、「-y」⇒「性質・特徴を出す」、「-ish」⇒ 「境界をぼかす・曖昧にする」と覚えておいてください。そして、あなたも、時には「-ish」を取り入れた洒落た会話術を楽しんでみてはいかがでしょう?
See you!