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emoji や kawaii など、今では英語になった日本語が数多くありますが、昨年 Oxford English Dictionary に “isekai” という言葉が追加されたことを知り、ちょっと驚きました。昨今、日本のファンタジー系アニメなどで人気の「異世界もの」ジャンルを表す言葉として紹介されているのですが、改めて日本のポップカルチャーのパワーを感じます。さらに驚いたことには、世界のコアなマニアたちの間では isekai が動詞のように使われていて、get isekaied /get isekai’d が「異世界転生する」という意味のスラングとして使われているということです。日本語のグローバル化も進みつつある今日このごろですね。
さて、あなたは、英語を読んだり聞いたりしている際に、「あれっ?こんな文法ってアリ?」とか「この文の意味がどうも釈然としない」などと感じたことはないでしょうか?つまり、自分が知っている英語のルールには当てはまらないような表現に出会った経験です。昔は英語のテストで良い成績を取っていたという人や、受験英語をみっちり勉強したなどという人ほど、そのような経験があるのではないかと思います。
英語を使う際の一定のルールとして英文法が存在します。中学や高校の英語の授業や一般的な参考書では英文法の基本ルールを学ぶことが前提になりますが、こうした基本ルールさえ押さえておけば、ほとんどの場合、困ることはありません。しかし、ルールには常に例外が付き物で、基本ルールの枠からはみ出た用法というものも数多く存在します。そこで今回は、基本ルールに忠実な人が一度は「あれっ?」と思うような用法をいくつか取り上げてみたいと思います。
まずは、「動詞 want」の用法です。want の用法に関しては、私もこれまでに「あれっ?」という瞬間を何度か経験しました。
A: I don’t want anyone to disturb me.
B: I don’t want anyone disturbing me.
上記 2 つの英文のうち正しい英文はどちらでしょうか?A はお馴染みの 「want 人 to do」の用法ですから、もちろん正しい英文ですね。一方、B のような英文は見たことがないという人も少なくないかもしれません。実は、B も文法的に正しい用法です。では、それぞれどんな意味になるでしょうか?
A: 「私は誰にも邪魔してほしくない」
B: 「私は(これ以上)誰にも邪魔されたくはない」
A、B どちらも同じような意味を持ちながら、実際には異なる状況を表現しています。A の「want 人 to do」の用法に対して、B の「want 人 doing」の用法は、現在進行中の行為について言及する意味合いが強く、上記の例文のように多くは否定文で使われます。A が「邪魔してほしくない」という思いを表現しているのに対し、B には「(すでに)邪魔をされているのでやめてほしい」というニュアンスが込められています。
「want 人 doing」の用法は、否定文で多く使われるものの、肯定文ではまったくナシという訳でもないようです。例えば、
A: I want her to stay here with me.
「私は彼女にここで一緒に居てほしい」
B: I want her staying here with me.
「私は彼女に(このまま)ここで一緒に居(続け)てほしい)
というように、A と B では微妙に異なる意味合いが表現されます。
そのほか want には、主にモノを主語にした「want doing」の用法というものがあります。
This watch wants repairing.
「この腕時計は修理が必要だ」
These flowers want watering
「これらの花には水やりが必要だ」
この用法では、「want doing」で「~される必要がある」という意味になり、この場合の want は need に置きかえることが可能です。
次に取り上げるのは「動詞 decide」の用法です。早速ですが、以下 A、B の英文の意味の違いはわかりますか?
A: He decided to go to the restaurant in Shibuya on her birthday.
B: He decided on going to the restaurant in Shibuya on her birthday.
A の「decide to do」は「何かをすることを決める」「特定の行動を取ることを決める」という意味になるお馴染みの用法です。一方、多くの人にとって見慣れない B の「decide on doing」は、「複数の選択肢の中から何かを選ぶ」「特定の計画などに決定する」という意味になります。
A: 「彼は彼女の誕生日に渋谷のレストランに行くことにした」
B: 「彼は彼女の誕生日に(幾つかのプランのうち最終的に)渋谷のレストランに行くことに決めた」
つまり、「decide to」では行動を起こすことに焦点が当たっていて、「decide on」では決定した対象が強調されます。
A: We have to decide the date.
「日取りを決めなければならない」⇒決めることが焦点
B: We finally decided on the date.
「ようやく日取りが決まった」 ⇒日取りが焦点
ちなみに、「decide on the date」の「decide on」は「fix (~を確定する)」という動詞に置き換えることが可能です。
最後に取り上げるのは、意外に知られていない「形容詞」の用法です。以下 A、B の英文はそれぞれどんな意味になるでしょうか?
A: He was very rude.
B: He was being very rude.
A はよくある「be + 形容詞」の用法で、rude は「失礼な」という意味の形容詞ですから、文字通り「彼はとても失礼だ」という意味になります。一方、進行形の be 動詞に形容詞が続く B の「be being 形容詞」の用法は、「一時的にそのような状態にある」ことを表現します。
A: 「彼はとても失礼だ」
B: 「彼はとても失礼な態度をとっていた(彼はその時とても失礼だった)」
A の英文では、彼が普段から失礼な人間であるとされているのに対し、B の英文では、彼が普段も失礼な人間であるとは限らないことを意味しています。
I’m not a selfish person, but I was being selfish at that time.
「私はわがままな人間ではないが、あの時はわがままになっていた」
ただし、「be being 形容詞」 の用法が使えるのは「性格や性質を表す形容詞」の場合のみになりますので、この点だけご注意ください。
いかがでしたか?英語を学習すればするほど、英文法の奥深さも見えてくるものです。今回のブログで新しい気づきが得られましたら幸いです。
See you!