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もうかなり前のことになりますが、日本人初の国連難民高等弁務官を務められた緒方貞子さんのメディアインタビューの音声を聞いて、そのカッコ良い英語の話しぶりにとても感動したことがあります。特に印象に残ったのは、省略や倒置的な表現を巧みに交えたネイティブさながらの会話術でした。
あなたも、洋画や海外ドラマを観て、登場人物の洗練されたもの言いや、クールな決め台詞に魅了されることはないでしょうか?映画やドラマのセリフがカッコ良く聞こえる理由のひとつは、省略用法が効果的に使われているからと言えるでしょう。
例えば、アクション系の作品では、速いテンポの短いセリフ運びで、緊迫した状況やプロフェッショナルらしさを演出しています。
“We go in fast. You left, me right.”
「速攻で入るぞ。お前は左、俺は右」
“No mistakes. Not tonight.”
「ミスは許されない。今夜はな」
また、サスペンス系の作品では、一言で緊張感を漂わせたり、言葉を削ることによる余裕を演出したりしています。
“You knew.”
“Knew what?”
「知ってたんだな」
「何を?」
“You trust him?”
“I do.”
「彼を信用してるのか?」
「してるわ」
このような表現は、ネイティブスピーカーだからこそ使いこなせるものだと考えてはいませんか?英語における言葉の省略にはいくつかのパターンがあり、これを理解することで、誰でも映画のように洗練された表現で話すことができるようになります。
実は、英語の省略パターンを知ることは、私たち日本人が自然な英語を話すための不可欠な要素なのです。ネイティブにとって、日本人の英語がなぜ不自然に聞こえてしまうのか、その秘密がここにあります。
それでは、ここから、英文における主な省略パターンをご紹介します。
🔹動詞句の繰り返しを省略
文法上は動詞句省略(VP Ellipsis)と呼ばれる用法です。繰り返される動詞句を省略する用法で、助動詞(can / will / doなど)の後ろで動詞句が丸ごと省略されます。
John ate the cake, and Yoko did (eat the cake), too.
(ジョンがそのケーキを食べ、ヨーコも食べた)
Yoko can drive, but I can’t (drive).
(ヨーコは運転できるが私はできない)
I thought I needed it, but I don’t (need it).
(それが必要だと思っていたが、今は必要ない)
[映画的表現]
“You think I’m afraid?” (俺が怖がっているとでも?)
“You should be.” (怖がるべきだな)
*後半で be afraid と言わないことで、余裕と圧が出る。
🔹疑問詞で止める
文法上はスルーシング(Sluicing / 間接疑問文縮約変形)と呼ばれる用法です。疑問詞(who / what / where / why / when / howなど)に続く節のほとんどが省略され、疑問詞のみが残ります。英会話でも頻出の構文です。
Someone called me, but I don’t know who.
(誰かが電話してきたが、誰かはわからない)
Yoko didn’t answer John’s question, but he didn’t know why.
(ヨーコはジョンの質問に答えなかったが、彼はなぜだかわからなかった)
Someone is supposed to visit us, but I don’t know who when.
(誰かが訪ねてくるはずだが、誰がいつ来るかは知らない)
[映画的表現]
“Someone betrayed us.” (裏切り者がいる)
“Who?” (誰だ?)
*Who betrayed us? を省略した一言で緊張感が高まる。
🔹重複動詞表現を省略
文法上はギャッピング(Gapping / 空所化)と呼ばれる用法です。and / but / orなどの接続詞で結ばれた並列構造の文において、2つ目以降の節で前述の動詞(または動詞句)を省略します。同じ動詞を繰り返すことを避け、文を簡潔にするために用いられます。
I ate fish, John steak, and Yoko chicken.
(私は魚を食べ、ジョンはステーキを、ヨーコはチキンを食べた)
*John / Yoko のあとの ate を省略。
John was dating Yoko, and Paul Nancy.
(ジョンはヨーコと付き合っていて、ポールはナンシーと付き合っていた)
*Paul の後の was dating を省略。
John gave Yoko some flowers, and Nancy cookies.
(ジョンはヨーコに花を、ナンシーにはクッキーを贈った)
*Nancy の前の John gave を省略。
John encouraged Yoko to study Japanese, and Paul Chinese.
(ジョンはヨーコに日本語を学ぶよう、ポールには中国語を学ぶよう勧めた)
*Paul の前の John encouraged を、 Paul の後の to study を省略。
[映画的表現]
“You bring the chaos, I the order. ”
(お前は混乱をもたらし、俺は秩序をもたらす)
*動詞 bring を後半で省略。セリフ感が強くてスタイリッシュ。
🔹対比を簡潔にする動詞省略
文法上はスードギャッピング(Pseudo-gapping / 疑似空所化)と呼ばれる用法です。ギャッピングでは、前述の動詞を繰り返さず、助動詞ごと省略するのに対し、スードギャッピングでは、後続文で助動詞や、目的語、補語が残る形が一般的です。比較・対比を簡潔にするために、日常会話でもよく使われる用法です。
John will eat pasta, and Yoko will pizza.
(ジョンはパスタを食べるが、ヨーコはピザを食べるつもりだ)
Yoko drinks wine more often than she does beer.
(ヨーコはビールよりもワインを頻繁に飲む)
John hasn’t invited Nancy to his house, but he has Yoko.
(ジョンはナンシーを自宅に招いてはいないが、ヨーコを招いていた)
If you don’t believe John, you will Yoko.
(ジョンを信じないのなら、ヨーコを信じることになるだろう)
[映画的表現]
“I’ll handle the front. You, the back.”
(正面は俺がやる。お前は裏を)
*handle / take / cover などの動詞を省略。省略形の指示でスピード感とプロフェッショナル感が出る。
ここまで、英文の省略パターンを紹介してきました。省略のポイントは以下のとおりです。
🔹同じ内容は繰り返さない
🔹冗長さを避け簡潔に返す(I do / I will)
🔹対比で削る(I will cook, and you will clean
🔹疑問は一語で(Who? / When? )
🔹リズム重視
英語では、同じ情報の繰り返しは冗長に聞こえてしまいます。このため、英文の削りどころを知らない一般的な日本人の英語は、ネイティブにとって 「くどい」と感じられることが多いようです。また、日本人は、疑問文を常にフルで言おうとする傾向があり、会話においてはやや説明的という印象を与えます。さらに、受け答えについても、日本人は、Yes / No に頼りすぎるため、教科書的なコミュニケーションに終始しがちです。実際に、ネイティブ同士の会話では、Yes / No 抜きの受け答えパターンがとても多いです。
✕ I like this one. Do you like this one? (→ くどい)
〇 I like this one. Do you?
Someone is coming to see me.
✕ Who is coming? (→ 間違いではないが、やや説明的)
〇 Who?
Do you want to go there?
✕ Yes, I want to go. (→ 同上)
〇 I do.
Are you ready?
✕ Yes, I’m ready. (→ やや丁寧すぎる感)
〇 I am.
Will you help me this afternoon?
✕ Yes, I will help you. (→ 同上)
〇 I will.
受け答えについては、下記のようなネイティブらしい言い回しを覚えておくことで、あなたの英会話が一気に自然になります。
I do. / I don’t.
I will. / I won’t.
I might.
Probably.
Guess so.
Maybe not.
Don’t think so.
最後に、注意すべきポイントです。省略表現は、基本的にカジュアル寄りの表現であるため、ビジネスの場では、ラフになりすぎずにフォーマルな英語を意識することが大切です。
✕ You, this part. (→ ラフすぎる)
〇 Could you handle this part?
いかがでしたか?あなたも 「2回目(以降)は削る」 「短く返す」 「一語で聞く」という省略のコツをマスターし、キレのある洗練された英会話をぜひ自分のものにしてください。